UI / Design System
Designer: Mio Shimizu
「PULSE」は、日々のトレーニングによる身体の変化を可視化し、ユーザーのモチベーションを持続させることをコンセプトにしたフィットネスアプリです。会員向けアプリと、トレーナーが使う管理者画面を、一貫したデザインで設計しました。

課題設定
ジムに入会しても、数ヶ月で足が遠のいてしまうユーザーは少なくありません。ヒアリングを通じて浮かび上がったのは、「予約が面倒で後回しにしてしまう」「食事と運動のカロリー管理が別アプリになっていて続かない」という2点でした。既存のジムアプリは機能ごとに分断されており、ユーザーは複数のアプリを行き来することになります。この非効率を解消し、予約管理・カロリー管理・進捗確認を一本のアプリに集約することが、本プロジェクトの出発点でした。

観察・洞察
方向性を固める前に、まずムードボードで表現の引き出しを集めました。ここで着目したのが、情報を弁当箱状に整理するBento UIです。予約・カロリー・進捗と要素が多い本アプリでこそ有効だと考えました。多様な情報を一望させつつ各項目を独立させる構成は、「毎日開いても疲れない」体験に直結します。あわせて、ネオンカラーのグラフや写真を大胆に使ったUIも取り入れました。数値やグラフが主役として際立ち、写真が画面に躍動感を与える表現に習慣化を後押しする手応えを感じ、これらを軸にラフスケッチへ落とし込んでいます。


アイデア展開
スケッチで固めた骨格をもとに、まずワイヤーフレームで画面構成と情報の優先度を整理しました。色や装飾に迷わされない段階で、要素の配置とBento UIのブロック分けを徹底的に検討しています。その構造をベースに、FigmaのAIエージェントで複数のデザイン案を一気に展開し、カラーリング・質感・ビジュアルの見せ方を変えたバリエーションを並べて、比較・検証できる状態をつくりました。この中には紫を基調とした案もあり、世界観は魅力的でしたが、次の検証で見送りを決めています。捨てた案を残したことが、最終案の説得力につながりました。


検証
ライトモード/ダークモード両対応を前提に検証を進める中で、当初有力だった紫は、両端の明度で彩度が落ち、画面に映えない問題が判明しました。彩度の推移を分析し、より広い明度域で安定した鮮やかさを保てる「緑」を新しいメインカラーに変更しています。これにより、どちらのモードでも視認性が高く、統一感のあるUIを実現しました。色を感覚ではなく数値で検証して選び直したことが、ブランドカラーの決め手になっています。



負担なく習慣化できる情報設計
会員証・目標達成率・スケジュール・カロリー・トレーニング記録といった多様な情報を、Bento(弁当箱)状のブロックUIで整理しました。各情報が独立したカードとして一目で把握でき、必要な項目へ最短で辿り着けます。日々開いても疲れず、負担なく習慣化できる情報設計とすることで、トレーニングの持続を後押しします。

状態を数値とビジュアルで即座に把握
トレーナー向けの管理画面(ダッシュボード)では、クライアントの達成率・体組成・トレーニング推移をグラフで大きく前面に配置しました。担当トレーナーが会員一人ひとりの状態を数値とビジュアルで即座に把握でき、的確な指導やメニュー調整につなげられます。ユーザー自身の「見える化」を運営側からも同じ視点で支える構成とすることで、パフォーマンス向上を両面からアシストします。

主要画面を作り込み、型を展開する
SPとPCそれぞれで、核となるメインページ約4画面を先行してしっかりとデザインしました。カラー・タイポグラフィ・Bento UIのレイアウト原則を、この4画面の中に凝縮して作り込んでいます。デザインの"型"が固まった段階で、残りのページはFigmaのAIエージェントを活用して横展開しました。確立したデザインルールをベースにすることで、一貫性を保ったまま20以上の画面を効率的に仕上げています。「主要画面を深く作り込み、そこから展開する」という進め方は、限られた時間でも一貫した品質を保つための、私たちの標準的なアプローチです。




PULSE
「PULSE」は、分断されがちなフィットネス体験を一本のアプリに集約し、会員とトレーナーが同じ視点で身体の変化を追える設計に到達しました。Bento UIによる負担のない情報設計と、数値・グラフを主役にしたビジュアルで、「見える化」が習慣化を後押しします。核となる画面を深く作り込み、そこから型を展開するプロセスは、要素の多いアプリでも一貫した品質を保つための、私たちの考え方そのものです。


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